院長の診療ノート
おたふくかぜがまた増えてきました。

夏と思わせるほど暖かくなってきました。

今回は下記のようなニュースを見つけました。

おたふくかぜ、再流行の兆し- 38都道府県で患者増、警報値超の地域も

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48828/page/1.html

 

おたふくかぜは人から人へ感染する(飛沫感染)ウイルス感染症です。耳の下の部分(耳下腺)が腫脹し、発熱を認めることが多いです。

耳下腺腫脹を認める数日前から腫脹後5日頃まで人にうつす可能性があり、潜伏期間は約2−3週間程度です。

治療は残念ながら特効薬は無く対症療法のみです。

合併症に、髄膜炎、髄膜脳炎、精巣炎、卵巣炎、膵炎、難聴などがあります。

髄膜炎は3〜10%程度で、入院が必要になることがほとんどでしょう。

難聴は永久に聴力が回復しない頻度が400〜1000人に1人程度です。

ほっぺが腫れて熱が出る程度であればまだいいのかもしれませんが、合併症はできれば起こってほしくないですね。

 

学校保健安全法に基づいて「耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が発現してから5日を経過するまで、かつ全身状態が良好になるまで」出席停止となります。

予防にはおたふくかぜワクチンが有効で2回接種すると予防効果は90%以上とさせています。ワクチンを受けていればおたふくかぜを発症したとしても耳下腺が腫脹する期間が短く、髄膜炎を合併する頻度も1/10以下になり、周囲への感染リスクを低くなるようです。

 

おたふくかぜワクチンの効果を考えれば、これが定期接種化され、接種率が80〜90%程度になれば、おたふくかぜは日本から撲滅できるんじゃないかと個人的には思っています。

更新: 2016年5月27日