院長の診療ノート
ミャンマーで麻疹が流行し、、、

暑い日が続きますが、皆さん夏バテなど大丈夫ですか?

熱中症にならないように水分摂取も大事ですが、夏バテしないように食事もしっかり摂りましょう。

 

さて今回は少し嫌なニュースです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160807-00000024-jij_afp-int

 

この地域の人口がわからないので少し状況がわかりにくいですが、かなりの死亡率ではないかと推測します。ミャンマーのこの地域では麻疹ワクチンなど接種されていないのではないでしょうか。日本では「MRワクチン」として麻疹のワクチンが接種されているので、このようなことが起こることはないでしょうが、何かの理由で麻疹ワクチンの接種率が低下すれば恐ろしいことが起こるのではないかと考えられ、他人事として放っておけないと思います。

 

ワクチンに否定的な方もおられると思います。確かにワクチンを接種した数百万人に1人程度の確率で脳炎・脳症などの重大な副反応が出ると言われています。しかし、麻疹に関しては自然感染では2千人に1人の割合で脳炎・脳症が出ます。(インフルエンザ脳炎・脳症は年間100人程度、日本人口を1億人として100万人に1人程度なので麻疹の方がはるかに高い確率です。)しかも重症になることが多いことからワクチン接種のメリットは大きいと言っても良いのではないでしょうか。

まだ世界で発展途上国を中心に年間50万人が死亡しています。日本ででも年間に20から30人の麻疹関連の死者が出ているようです。

麻疹について

http://medical.yahoo.co.jp/katei/251002000/

 

ワクチンには個人免疫と集団免疫の二つの効果が言われています。

個人免疫とは、ワクチンを接種した人自身がその病気に罹らなかったり、罹ったとしても軽く済むといった効果です。

集団免疫とは、ワクチンを接種することによって集団(または地域)でその病気が流行しないようにすることです。

 

その地域で麻疹が流行すると、

麻疹ワクチンを接種していない乳幼児

免疫力の低下したお年寄り

病気や治療で免疫力が低下している方

そしてワクチン接種したが、効果が減弱している人

と罹患し、しかもそういう人ほど重症化する可能性があり、場合によっては死に至る可能性も出てきます。

集団免疫の効果を得るためにはその集団で90〜95%のワクチン接種率が必要と言われています。日本でのワクチン接種率は約95%台です。(免疫やアレルギーの病気でワクチンを接種できない人が含まれています。)なんとか今の状態を維持して日本から麻疹を撲滅できればいいですね。

 

今はリオオリンピック真っ最中ですが、東京オリンピックまでに今以上の接種率に上げておかないと麻疹が持ち込まれて日本で麻疹患者が増加するなんてことも起こりかねません。ワクチン接種を頑張って進めていきましょう。

 

 

更新: 2016年8月8日