院長の診療ノート
ロタウイルス感染症

急に暖かくなりました。でも週末にかけてまた寒くなるようです。みなさん外出時の服装に気をつけてましょう。

さて、以前に感染性胃腸炎のお話をしました。(「感染性胃腸炎が流行る季節です。」)例年、3月から5月にかけて乳幼児を中心にロタウイルスによる胃腸炎の流行がみられます。乳幼児期(0~6歳ころ)に罹りやすく、特に生後6か月から2歳頃の子供で重症化しやすいと言われています。大人はロタウイルスに何度か感染している可能性が高く、重症化することは稀ですが、乳幼児は激しい下痢、呕気、呕吐、腹痛、発熱といった症状が出ることが多く、特に初めて感染したときに症状が強く出ます。便が普段より白っぽくなったことで気付かれる場合もあります。潜伏期間は2〜4日間程度で、下痢、嘔吐が続くと脱水を起こし、ひどくなると点滴が必要となったり、入院が必要になることがあります。場合によっては痙攣、脳症などの合併症が起きたり、死に至る場合もあります。ロタウイルス性腸炎による死亡例は、日本国内で毎年2~18名が報告されています(平成12年~24年厚生労働省人口動態統計)厚生労働省ホームページより

 

感染者の下痢便1グラム中に1000億から1兆個のロタウイルスが含まれているといわれています。そのうちの10~100個くらいのロタウイルスが口から入ることで感染します。感染者のおむつの処理などは以前の「感染性胃腸炎が流行る季節です。」をご覧下さい。

 

ロタウイルス感染症が疑われる場合はかかりつけの小児科を受診して下さい。疑わしいときはその便を持参していただければ検査をすることも出来ます。

 

現在、ロタウイルスに対する直接的な治療薬はありません。整腸剤を出来る範囲で内服し、脱水にならないように水分補給をしっかりしたり、体力を消耗しないように栄養補給をするといった対処療法が中心になります。脱水症状が酷くなる前に医療機関を受診して下さい。

 

現在、生後6週からロタウイルスワクチンの接種が任意接種で出可能です。(生後24週または32週まで)かかりつけ医で御相談下さい。

更新: 2016年3月8日